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2001年5月30日 宮崎県 K.G様


 今度はJ.Hさんに案内されてK.Gさん宅へお伺いしました。部屋に案内されるや職業病が出てきました、まわりをキョロキョロ、杉の木の間伐材で出来た部屋の壁が大変気に入りました。

 気持ちがすごく落ち着くのです、居心地が良く呼吸がスムーズに出きるといったらいいでしょうか、私の肺が喜んでいるのが良く判ります。この感覚は13〜14年前に富山県の砺波のお客さんのお宅へ行った時に似ています。

 その時は、InfinityのRS-4.5が見事に美しい響きだったことが強く印象に残っています。その時のスピーカーケーブルといったらm50円くらいのものです。

 機材だって特別拘っている形跡もありませんでした。その時の経験は貴重なものとして今の私に役立っています。ですから、この部屋でこれだけの機材があればどれだけの音が出せるというイメージが私には判るのです。

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 しかし今日お邪魔しているK.Gさんの音は何ともヒドイ音でした。そこで何の原因がこのように「痩せて」「潰れた」ようにしているのか、じっくり観察し私なりに答えを見つけました。

 振動が迷走し死んだ音になっているのは、スピーカーの下にウッドブロックや、緩衝材、或いはスピーカーターミナルに並列でぶら下がっている物。

 とにかくこの状態では『船頭多くして船進まず』。ですから、一旦全てのものを外してスピーカーの素の音を聴いてみませんか?

 その状態で私のセッティング技術で鳴らす音を一度聴いてみて下さいという提案をさせて頂きました。そして私が鳴らす音の前に、予言します。

 この部屋そのものが大変美しい音を奏でるように出来ていますから後で楽しみにしていてくださいと言って、皆さんに手伝って頂きながら余分なものを全て外しました。

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ホーン型ツイーター、ウッドブロック、粘質系緩衝材etc. これだけ色々な物がついていました。

 とりあえず、スッキリした状態でまずスピーカーの足場にガタが無いように紙で詰め物をし安定させます。

 その後に音だししながらスピーカーの左右の距離、間隔、角度と微調整をしていきます、長い間スピーカーに手かせ足かせがついていたのが取れてきて、水をえた魚のように生き生きと音が出始めるではありませんか、この時点で皆さんビックリです。

 そしてこの後、直感的にプリパワー間のピンケーブルの方向が反対ではないかと思いチェックしますがメーカーの指定の矢印どおりに結線はされています。私は反対の方が良いと思うのでつなぎ変えましょうといって反対にしましたら音楽が見事に流れるように良くなりました。

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GOTOと書かれた管球のプリアンプ。 6L6の管球パワーアンプ。

 それから更に仕上げの段階へと入っていくのですが、その第一弾としてタンノイの同軸ユニットのクロスオーバー付近の繋がりを良くするのにローゼンクランツのスピーカーアタッチメントを装着して聴いて頂きました。

 これには皆さん尋常の驚きではないショック状態でした。この後はご本人の希望でプリアンプにインシュレーターのPB-JRを買うから入れて聴かせて欲しいということになり、入れてすぐはエネルギーがアップした事により少しキツメになりましたが全体が落ち着いてくるのと同時に先ほどのアタッチメントの効き目のせいで何処までもリニア-に音楽が吹き上がって行きます。

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トーレンスのWアームのプレーヤー、カートリッジも最高級の物。 CDトランスポートはCECのTL-2X。

 最後の仕上げにCECのCDトランスポートの純正のスタビライザーとローゼンクランツのSTB-1の比較試聴をして最後としました。

 今回のクリニックで使ったものは全て購入したいというお返事を頂きました。K.Gさんは80歳を超えるご高齢ですが音楽に対する情熱と感覚のよさは驚くものがあります。

 最後にこんないい音にしてくれて有り難うと言ってくださった目は気のせいか私には潤んでいるように見えました。

 私も今は亡き父親と姿がダブり感慨深いものを憶えました。

 出張から帰りますとK.Gさんから気持ちだといって大きなメロンが3個も届きました。

 その熨斗には毛筆で気持ちをつづっておられましたが、書道教室をやっておられたというだけの事はありなんとも達筆です。

 デジタル文字に馴れている今日にやはり人の心がありのままに伝わるアナログ毛筆文字は感動でした。


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